2022年2月号(ゴスペルのこと)

《ゴスペルのこと》
アフリカ系アメリカ人の教会から発生したゴスペルという歌の種類のことは多くの方がご存じだと思います。今から20年ぐらいまえから日本でも一般の合唱サークルのようなゴスペル教室ができたものです。NHKの教育放送でも2,000年の春に趣味悠々のコーナーで「ゴスペルを歌おう」という番組が2ケ月ぐらい放送されました。


ゴスペルが日本で歌われる場合、ほとんど英語で歌われます。同じ英語のフレーズが何度も繰り返されることや英語の歌詞が簡単であること、また原語のほうが歌の魂を感じられるということがその理由と考えられます。
ゴスペルの定番として歌われる歌の一つに”Oh happy day”(オーハッピーデー)があります。この明るく元気な歌は、誰でも聞けば何となく聞いたことがあると思うような歌ではないでしょうか。この歌は今年の民放の正月番組でも歌われていました。歌詞の内容はひじょうに宗教的で、日本語に訳したならばテレビで放送するとクレームが来るような歌詞かもしれません。
 “Oh happy day”のほとんどは、次の言葉の繰り返しとなっています。
Oh happy day when Jesus washed
He washed my sins away
「幸いな日よ イエスが洗ってくださる時
 彼(イエス)が私の罪を除き去る時」


“Oh happy day”は、どんな状況を幸せと言っているかというと、”When I get to heaven”(私が天国に着く時)と次に歌っていますので、この歌は天国の祝福を待ち望む歌ということがわかります。ゴスペルは魂の叫びのようなもので、人間であれば誰であっても共感できる要素を持っていると言えます。
ところで、日本の多くの人が疑問に思うことのようですが、なぜ白人の宗教を黒人がまともに信じているのかという人がいます。キリスト教は西欧の宗教と思っている人が日本には多いので、そのように考えるのだと思います。実際、キリスト教はヨーロッパ諸国に最初に広がったことは事実ですが、しかし白人がキリスト教を黒人に強制的に信じさせたのであれば魂から湧き出る歌は決して作られなかったはずです。彼らは深い宗教的体験を十分にしたので、あのような歌が作られたと見るべきです。


 また、別の考え方として黒人たちが自分なりの宗教を新たに作り上げたと考える者もいるかもしれませんが、歌われている内容からもわかる通り、信じる対象に変わりがありません。人は神のまえに罪があるという事実や、その罪を贖(あがな)ってくださり天への希望を与える者は神の御子イエス・キリストによるという事実がキリスト教の重要な要素と言えますが、”Oh happy day”にはその事実が歌われています。


 ところで、人種や文化や習慣によって人の個性は違いますから神の栄光を帰(き)する歌も違ってくることがあります。讃美歌の中には日本人の手によるものもあり、その多くは静かなメロディーです。それでも現在は日本の若い人たちも世界中の多くの音楽を聞いていますので、日本で新しく作られる讃美歌も元気でゴスペルに近いものも作られています。大切なことは、その時代の人がその時代の感性で、変わることのない存在(神)をほめたたえることです。今は感染防止の関係で教会ではあまり讃美歌を歌えませんが、ぜひ教会においでください。教会ではあなたのおいでをお待ちしています。
〔大泉聖書教会牧師 池田尚広〕