《危機をどのように乗り越えるか》

 アメリカの宇宙船アポロ13号の話は、映画にもなっていますから多くの人がご存知だと思います。11号がすでに月面着陸をしていたので、13号を打ち上げた頃には宇宙船の組み立てのところで気の緩みがあったのかもしれません。地球から33万キロ離れたところで、酸素タンクが爆発して宇宙船内の半分の酸素が失われるという事故が起きました。酸素の喪失は宇宙船の全機能の停止を意味しています。(ロケットエンジンは酸素と水素の反応で動き、電気もこのエネルギーで生み出されるので、電気が止まればコンピューターも停止することになります)

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は半分あきらめて、当時のリチャード・ニクソン大統領による殉職声明文も用意されたということです。三人の飛行士はイエス・キリストを信じる者であって、彼らは新約聖書Tコリント10:13のことばを信じて必死に祈ったそうです。すると良いアイデアが浮かびました。

 月面着陸用の月面着陸船を救命ボートの代わりにするというアイデアがひらめいたのでした。まずそれに乗り換えて、月面着陸船内の酸素と電気を使って、何とか地球近くまで生きながらえました。最後に、その月面着陸船で、地球の大気圏突入を敢行して奇跡の生還を果たしたのでした。
 
以上:「どんなことにもくよくよするな」(佐々木満男著)〔いのちのことば社〕より

 
よく、「脱出できない試練はない」ということばを聞くことがあります。それは元をたどれば聖書の言葉であり、アポロ13号の宇宙飛行士たちを支えた言葉です。

「神は真実な方ですから、あなたがたを耐えることができない試練にあわせるようなことはなさいません。むしろ耐えることができるように試練と共に脱出の道も備えてくださいます。」(新約聖書Tコリント10:13)

 ここでポイントとなってくるのは、一般法則として信じているのか、本当に生きている神の約束として信じているかどうかです。いわゆる一般法則として信じているということは、道徳の授業で聞いて納得している程度のことだと思います。それが本当に生きる力になっているとは思われません。

 アポロ13号の宇宙飛行士たちは、その約束の言葉を全知全能の創造主である神の約束として受け取り、これから取るべき行動を求めて祈ったのでした。諦めて考えるのと、希望を失わずに考えるのでは結果が違います。また、普段から神を信じて関係を持っていることと、絶体絶命の時が来たら神のことでも考えることにするかというのとでは、その場での対応が違います。

 多くの日本人は、神に頼るなど、ある種の敗北のように考えていますが、決してそうではありません。私たち人間には可能なことと不可能なことがあります。可能なことはしっかりと自分でやって、不可能な分野は神に主導権を譲るのが知恵ある生き方です。

 教会では、あなたのおいでをお待ちしています。(大泉聖書教会牧師 池田尚広)