《生きる力》

精神科医の柏木哲夫さんは、「生きる力」を持っている人の要素として次の7つのポイントを挙げています。
@  プラスのほうを見る。
Aいらだたない。
B
決断した結果を良しとする。
C人を赦す(ゆるす)。
D不都合なことを受け入れる。
E将来の可能性を見る(信じる)。
F縦の平安をいただく。
(「生きていく力」柏木哲夫著より、いのちのことば社)

柏木氏は、末期医療(ホスピス)に長年関わって多くの人をみてきた結果として、これらのことを述べています。@〜Bについては、一般的にも言われてことだと思います。Cについて柏木氏は、「赦せないということと謝れないということは連動します。人を赦しにくい人はなかなか謝れない人です」とも述べています。また、人を赦せない人はいろいろなことを引きずって生きるとも述べています。しかし、人を赦すということは簡単にできることではありません。意思の力でなんとかできることでもありません。

悪を行なう者に対して腹を立てるな。不正を行なう者に対してねたみを起こすな。 彼らは草のようにたちまちしおれ、青草のように枯れるのだ。 主(神)に信頼して善を行なえ。地に住み、誠実を養え。主(神)をおのれの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。 あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。」(旧約聖書詩篇37篇より)

赦すということは、ある意味では全知全能の神にお任せして忘れるということでもあります。その意味では、お任せする存在を持っていることは重要です。

四番目の「不都合を受け入れる」ということですが、「受け入れる」とは「諦める」ことではありません。たとえば、「運命だからしかたがない」などと諦めることではありません。「受け入れる」とは、生きていけば有り得ることと理解することでもあります。たとえば、病気になることや事故や自然災害に遭うことはすべての人に有り得ることであり、死は誰もが経験しなければならないことです。

キリスト教病院で長年働いた柏木氏はクリスチャンでもあるので、E、Fの要素も重要であると述べています。七番目の「縦の平安」とは、神との関係から来る平安のことです(ちなみに、横の平安とは家族や友人などとの関係から来る平安です)。

ところで、「プラスを見なさい」と言われても、何を基準にするかで結果は違ってきます。不都合を受け入れることや赦すことも、その人の持っている基準によってはさらにイライラを増す結果を招くこともあると思います。

基準となるものを外から取り入れるのではなく、自分自身を強くしたいという人が多くおられます。しかし、人は思想的には無の状態で生まれてくるわけですから、すべての人は外から取り入れた考えで、すでに生きているのではないでしょうか。

ぜひ教会においでくださって、聖書のことばに耳を傾けていただきたいと願っています。教会ではすぐに信じることを強要するようなことはありませんので、お気軽においでいただきたいと願っています。また、何か質問がありましたら何なりとご連絡ください。

(大泉聖書教会牧師 池田尚広)