《ことばと生き方》

ネガティブなことばを使わずポジティブなことばを使いなさいと、ビジネスの世界ではよく言われています。ポジティブなことばを使っていると、気持ちもそのようになってくるだけではなく、やっていることが本当に実現するように思えてくるからです。

そこで多くの人は会議などで、気をつけてことばを使おうと思うかもしれませんが、それ以前に普段の会話の中でどんな返事をしているかで、その人は形成されているようです。

ある会社経営者は次のように言っています。「あなたの周りでも、好意を多く受ける人は良い返事をしていると思いませんか?たとえば、職場でも良い返事の人には多くの仕事が与えられます。一方で、頼んでも面倒くさそうな顔で、嫌々やっているのが見て取れる人には何も頼まなくなります。仕事を多く頼まれる人は仕事もどんどんできるようになって、必然的に豊かになっていくでしょう。一方、頼まれなくなった人は、仕事も向上せず、だんだん貧しくなっていきます。」(1

ことばの使い方で、その人の生き方がいちばん表に出て来やすいのが「返事」なのかもしれません。返事には、言われたこと(与えられたこと)を、ポジティブに聞いたか、ネガティブに聞いたかが現れているとも言えます。

聖書に次のようなことばがあります。

「良い返事をする人には喜びがあり、時宜(じぎ)にかなったことばは、いかにも麗しい。」(2)  

「良い返事」とは、言われたことをすべて受け入れるということではないはずです。たとえばそれは、どんな人にも敬意を失わないことや、「ノー」という言う場合でも誠意をもって、理由を述べることなどがそれに当たると思います。 

ところで、この教会では土曜日に子どもの集会を開いていますが、子どもたちの態度が20年ぐらいまえに比べてずいぶん変わったように思います。以前は、入ってくる時や帰る時などに「こんにちは」「さようなら」「ありがとうございました」とか、食べる時に「いただきます」「ごちそうさまでした」と言える子がいたように思いますが、最近ではほとんどいなくなりました。親御さんたちは子どもたちがやがて会社に入ってから、ある程度の立場を築いて欲しいと願っておられると思いますが、このままでは就職してからも、少しでも自分の仕事を減らそうとして良い返事はしないだろうなあと思うことがあります。良い返事は、良い人間関係を築くだけでなく、仕事自体にもやる気を与えるものだと思います。

 現在の統計では、大学を卒業してからせっかく正社員として企業に就職できても、数年して離職する人の割合がだんだん高くなってきているという結果が出ているそうです。大学生の新卒を採用する企業でブラック企業の割合はそれほど高くないと思いますから、本人が人間関係を築くことに重荷を感じてしまって辞めてしまう場合が多いのではないでしょうか。

私自身のことで恐縮ですが、私は学生時代とんでもない汚いことばを使う者でした。このことで教会に行ったわけではありませんが、教会に行くようになってからことばがきれいになったことを後になって気づいた覚えがあります。それ以後、家族や他の人間関係も少しづつ豊かになっていったように思います。あなた自身のために、家族やお子さんのためにも、ぜひ教会に足を運んでくださることを願っています。教会では、あなたのおいでをお待ちしています。

〔大泉聖書教会牧師 池田尚広〕

(※1)「いつでも喜んでいる人の七つの秘訣」

  奥田英男著、ミリオンスマイル社

(※2)旧約聖書箴言(しんげん)15:23