メリークリスマス

 多くの人が知っているクリスマスソングに、「きよしこの夜」があります。

 この歌は、「きよし」という人と関係がある歌だと思っている人がいますが、「きよいこの夜」という意味です。原曲はドイツ語の歌で、短いあいだに世界中のことばに訳されて広がった歌でした。

オーストリアのザルツブルグの北にオーベルンドルフという小さな村があります。その村にあった聖ニコラス教会の聖職だったヨゼフ・モールという人がこの歌詞を書きました。

1818年のクリスマス・イブのことでした。次の日の式に使うはずだったオルガンが急に故障してしまったので、モールは途方にくれていました。村にある丘に登って、美しく輝く夜空をながめ、平和でおだやかな村の景色をのぞみながら、モールは乱れる心を静めようとしました。ちょうどその時に浮かんだのが「Stille Nacht(静かな夜)の原曲でした。

モールは急いで家に帰り、クリスマスの朝の4時頃までにこの歌詞を書き上げたそうです。

12月25日の朝はやく、友人のフランツ・グルーバーのところへ持っていって、曲を書いてくれるように頼みました。グルーバーはその村の小学校の先生であり、教会のオルガニストでもありました。彼はすぐに曲をかきあげ、「Stille Nacht」(しずかな夜)は、モールがテナー、グルーバーがバスとギターの伴奏の二重唱として紹介されました。

 「よきしこの夜 星はひかり

  救いの御子(みこ)は まぶねの中に

  眠りたもう いとやすく」

 救いの御子(みこ)とは、イエス・キリストのことを指しています。「まぶね」とは、「馬舟」と書きますが、家畜が食べる餌箱(えさばこ)です。その餌箱をなぜ日本では馬舟といったかというと、舟の形をしていたからだそうです。

この歌は、餌箱の中にわらを敷いて、生まれたばかりのイエス・キリストが寝かされていた様子を歌っています。単に、赤ん坊がそのようなところに寝かされていたなら、かわいそうだという話になるのが普通だと思いますが、この歌は、救いの御子(みこ)が与える希望と平安に満ちています。

「きよしこの夜 み告げ受けし

 牧人(まきびと)たちは御子(みこ)の御前に

 むかずきぬ かしこみて」

羊飼いたちが野宿で羊の夜番をしながらいると、天の使いが現れ、今ベツレヘムという町で救い主が生まれ、馬舟に寝かされていると告げました。彼らがベツレヘムの家畜小屋を探すと、天の使いが言うとおり、ある家畜小屋に赤ちゃんが寝かされていました。羊飼いたちは、その子を拝みました。これは、新約聖書ルカの福音書2章に記されている出来事です。

イエス・キリストは、救い主であり、神の子です。救い主が、きよい神とあなたとの架け橋です。その架け橋が、神が人に与えたプレゼントです。赦しや、守りや、導きや、永遠のいのちが与えられます。

ぜひ教会においでくださって、クリスマスをお祝いいたしましょう。教会ではあなたのおいでをお待ちしています。(大泉聖書教会 牧師池田尚広)