《ベツレヘムで生まれたクリスマスソング》

 現在のパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区にあるベツレヘムという町は、キリスト生誕の地として有名です。今は政情不安もある関係で、観光客もそれほど多くないと思いますが、しばらく前まで、この町はクリスマスが近づくと多くの観光客がやってくる町でした。

『ああベツレヘムよ』という有名なクリスマスソングがあります。この歌はクリスマスシーズンになるとレストランなどで流れている曲ですので、曲を聴けば思い出すことができる曲だと思います。私見ですが、クリスマスシーズンが楽しいだけの季節ではなく、静かで神秘的な雰囲気も感じさせる季節となっているのは、このような歌の存在が大きいと思います。興味のある方は、検索サイトをパソコンで「ああベツレヘムよ」と入力しますと、聴くことができるサイトもありますので、聴いてみてください。

さて、この歌はアメリカ人牧師フィリップ・ブルックスによって書かれました。この人は1835年〜1893年に生きた人で、ある年のクリスマスシーズンに、実際ベツレヘムへと旅にでかけました。ベツレヘムでなんとか作詞をしようと思っていたわけではなく、その町で歌詞が自然に湧いてきたそうです。

静かに夜露の 降(くだ)るごとく
恵みの賜物(たまもの) 世に臨(のぞ)みぬ
罪深き世に かかる恵み
(あめ)より来()べしと 誰かは知る

これは4節あるうちの3節目ですが、日本の賛美歌に編集された歌詞です。このような雰囲気の詩を受け取った作曲家のルイス・レンダーは、この歌詞の内容を音にするのに、最初はなかなかイメージが浮かばなかったそうですが、ある時にイメージが湧いてきて、その曲ができました。

 この曲は、静けさと神秘さを表しています。そして、豊かさも表しています。この歌は神の愛を表していて、その神の愛は「恵みの賜物(たまもの)」が世に与えられたことによって表現されていると伝えています。

 神に対するイメージは人それぞれだと思いますが、神が本当に存在するとしたら、神はこうであってほしいという人間の願望は、ある程度共通する部分が多いと思います。神は正義の神であってほしい。しかし、あまりにも細かいことも裁く神であってほしくないし、心から謝る者には赦してくださる方であってほしい。以上のことは、多くの方が願っていることではないでしょうか。この世の中には、聖書を利用する団体は多くあって、聖書自体も誤解をされていることもありますが、聖書は実際、正義と赦しの神を示しているのです。クリスマスは、神からの恵みの賜物が世に与えられたことを記念することから始まりました。あなたは決して神から遠くはないし、神はあなたのことをよくご存知です。きよい神は、恵みの賜物を代価として、あなたを受けいれてくださるのです。大切なことは、あなたが素直に神の恵みの賜物を受けいれるかどうかです。

 最初からすべてを理解することは難しいことですが、少しでも関心のある方はぜひ、教会においでください。(大泉聖書教会牧師池田尚広)