《教会のクリスマスソングの特徴》

 教会のクリスマスソングは、その特徴として三つぐらい挙げることができます。
第一は、「喜び」です。『もろびとこぞりて』などの歌は、喜びを表現しています。その喜びとは、長年の望みが現実となった喜びであり、永遠に変わらないものを得た喜びのことです。
 ひらたく言えば、旧約聖書は、やがて救世主が来るということを記している書ということができます。新約聖書は、救世主(キリスト)が来たことを記している書ということができます。
 長年、救世主の現れを待っている人にも、救世主について知らない人にも、救世主の現れは大きな喜びとなりました。救世主とは、天への確実な希望、罪の贖い、父なる神との平和を人に贈る働きをします。それらを持つことが、人に本当の喜びを与えます。クリスマスソングの一つの要素の「喜び」は、そのような喜びを表しています。理解できない人も多いと思いと思いますが、少なくとも曲の作詞者と作曲者はその喜びを持つだけではなく、感動して歌を作りました。
 クリスマスソングの第二の特徴として、「神秘さ」「不思議さ」が挙げられます。レストランなどで、神秘的な雰囲気のクリスマスソングを聴く機会は少なくないと思います。この時期になるとクリスマスソングを一ヶ月近く聞いても飽きないのは、喜びや楽しさの他に、この神秘的な要素を持った音楽が流れるからではないでしょうか。何が神秘かというと、神が人となってこの地上に来たということが神秘であるということを、歌詞とメロディーは表現しています。新約聖書ヨハネの福音書1章には、神は肉体を取ったという表現があります。神が肉体をわざわざ取ったのは、人の贖いのためであるので、そのことが人にとって神秘であるとともに、喜びでもあるわけです。
 クリスマスソングの第三の特徴として、「平和」が挙げられます。平和といっても、争いがない状態を表現する平和ではなく、それは「神との平和」です。争いはなくても、自分の心の中は平和ではないということもあり得ます。不安や恐れや、不満や不平、さまざまな思いを私たちは持つものです。ある程度の精神的な鍛錬によって、心の平和を持つことも可能かもしれませんが、「神との平和」とは、平穏な心の状態のことではなく、次元の違う平和です。
 ある小冊子に書かれていたことですが、ある少年が些細なことで親に食ってかかりました。親は、「おまえには欲しいものは買ってやっている。何が不満なんだ」と少年を叱りました。その少年は、「家には宗教がない」と言ったそうです。少年の頃は多感で、親に何でも食ってかかるところがあります。しかし、その頃は真実に心が向いている時期でもあります。その少年にとって、親が何か絶対的な基準を持っているわけでもなく、周りの人がどうやっているかというようなことが親の行動の基準であるということに不満があったのかもしれません。人は誰でも、変わることのない真理や真実を求めていると思います。「神との平和」とは、言わば変わらない真理との出会いとも言うことができます。科学者であり、哲学者であったパスカルは、「(人の心には)神以外には満たすことのできない空洞がある」と言いました。その空洞を満たすことが神との平和を持つことでもあります。ぜひ、この時期、教会においでくださり、神との平和を持っていただきたいと願っています。
(大泉聖書教会牧師池田尚広)