《先進国病》

 「発展途上国」といわれる国では、ほとんどの場合、宗教が社会の土台となっています。一方、「先進国」と言われる国ではカルトの問題を抱えています。アメリカでは、魔術的なことを行う宗教が多くあります。また、ヨーロッパのほうに目を移してみても、同様の状況があります。たとえば、我々日本人はフランス人は宗教的なことに無関心と思っている人が多いかもしれませんが、フランスのニュースで、ある宗教的な思想を持った若い夫婦が幼い子どもを連れて、森の中で生活している様子が紹介されていました。また、スイスを旅行していた時、あるスイス人婦人が近づいてきて、「ものみの塔」(エホバの証人)の教えを話し出したということがありました。

東北学院大学名誉教授の浅見定雄氏は、カルトは先進国病だと言っています。浅見氏の定義によると、カルトとは「破壊的新々宗教」のことです。破壊的とは、生活を破壊させるということ、また新々宗教とは、新興宗教(新宗教)のあとに出てきた宗教ということです。新興宗教とは、明治以後作られた宗教です。

ところで、先進国でカルトが出てくる背景として、浅見氏は次の点を指摘しています。第一に、憲法で信教の自由が保障されているという点です。次に、一人ひとりのプライバシー(私的空間)が増えているという点です。個室を持つつということの他に、携帯電話の普及によって私的空間はさらに広がりました。いっしょに住んでいても、わが子が何をしているのか、まったくわからないこともあります。次に浅見氏が指摘しているのは、先進国の若者ほど進路に悩むという点です。昔ながらの伝統的な社会では遊牧民に生まれたら遊牧民、農民に生まれたら農民というように、あまり進路について悩みません。しかし、先進国では年齢を重ねても「自分は本当に何をしたいのか」「自分の本当の生き甲斐は何なのか」と疑問を持つ自由を持っています。そのような疑問を持っている人に対して、たとえば以前のオウム真理教は「あなたは『解脱』によって真の自己、いや今まで知らなかったあなた自身を発見できる」と言うのです。(浅見定雄著『なぜカルト宗教は生まれるのか』(日本基督教団出版局)p235-236より引用)

以上のことは、カルトが先進国で出てくる間接的な背景ですが、直接的な背景は、人は発展途上国の人でも先進国の人でも人間を超えたものを求めているということではないでしょうか。あなたのお子さんを、宗教的なものに触れさせないようにすれば、子どもが大きくなってからも大丈夫という問題ではありません。

これからの時代、私たちの周りの社会環境はどうなっていくでしょうか。今までの考え方によれば非宗教的なもののようで、深層心理を捕らえるという点では、ひじょうに宗教的なものが増えてくるのではないでしょうか。「自己啓発セミナー」と名乗りながら、カルトのように内面を破壊してしまうものも多くあるということです。人は皆、何か恐れ多いものや尊いものを求める心があると思います。その思いが強くなった時、カルトがそばにいないという保証はありません。

ぜひ、聖書の価値観を学んでいただきたいと思っています。ただし、聖書を使って、一般のキリスト教とは違った解釈をする団体もありますので、ご注意ください。当教会では、10回コース、5回コースなど、聖書を個人的に学ぶ「バイブルスタディー」をやっています。1回の時間は1時間ぐらいで、当人と牧師の都合に応じて時間を設定しています。料金はかかりませんので、ぜひ、ご連絡ください。

また、ぜひお子さんを教会学校にお連れください。子どもの頃に、特定のものを植え付けないようにしている親御さんもおられるかもしれませんが、その考え方が、あなたのお子さんが偶然出会う特定の価値観の奴隷になることへと導くことになるかもしれません。

教会学校では、約20分、礼拝の時間があります。礼拝は、歌(賛美)とお話(聖書の中の教えを分かりやすくしたもの)などで構成されています。その後、年齢別のテキストを使って、幼い子は塗り絵をしたり、小学生は問題に答えたりしています。たまに、ゲームをしたり、たこ焼きをしたり、楽しい時も織り交ぜながらやっています。時間は、9時30分〜10時20分ぐらいです。どなたでも、お気軽にお子さんをお連れください。    

  (大泉聖書教会牧師池田尚広)