《マイケル・チャン》

テニスの世界的プレーヤーになった錦織圭(にしこりけい)選手のことはご存じだと思います。その錦織選手のコーチに二年前からなったのがマイケル・チャンでした。その後、錦織選手は世界ランキングのトップ10に入りました。

マイケル・チャンについても、テニスを好きな方ならご存じのはずです。1989年の全仏オープンに17歳で優勝し世界を驚かせました。その後も優勝を重ねて世界ランキングは最高で二位になったことがありました。

マイケル・チャンは、台湾からのアメリカへの移民だった敬虔なクリスチャンの一族に育ちました。テニス好きな両親の影響で、6歳の時に兄とともにテニスを習い始め、両親は子どものテニスに適した場所に引っ越しを繰り返したそうです。彼が10代に入ると、教会への姿勢は消極的になり、日曜日の教会の礼拝の時間になるとわざと寝坊をしていたということです。悶々とした悩みを抱えた中、久々に祖父母がいる教会を訪ねました。

 その教会の礼拝で語られた「神はすべてのことに理由を持つ」という言葉が心に刺さりました。家に戻ると本棚に放置してあった聖書を開き、むさぼるように読んだそうです。まずは思春期の少年が関心を持つ、人間関係、恋愛などについて探して読みました。そして、「すべて答えが書かれている」ことに驚いたということです。

続いて、彼は聖書からイエス・キリストの生涯について読み通し、「私のいのちのために、十字架で死んだキリストの愛はなんと大きいのだろうか。何が起きてもキリストは、私を捨てない」と確信した。そして、「私の心に来てください。私をあなたの目的のために変えてください。」とイエスに祈った。

 また、「私はそのとき、主(しゅ)に従い、主のことを知る生き方をしようと決断したのです」と、マイケル・チャンは言っています。

後に彼は自身の信仰についてこう語っています。「クリスチャンになったことで、テニスのプレーに何か影響を与えたかどうかは分からない。だが人としてどう振る舞うかについては変わったと断言できる。傷ついた人への憐れみの心、善悪の判断、優しい振る舞いについて考えるにようになりました。私にとってのキリスト教の本当の意味は、イエス・キリストと個人的な関係を持つことだ。神を知ること以上の喜びはない」

チャン氏の錦織選手への指導は、猛練習と共にメンタル面でも大きな影響を与えていて、彼は信仰と勝負について次のようにも語っています。「トップ選手の間では、勝因の二割は身体面、八割は精神面と言われている。勝つと信じなければ絶対に勝てない。同じように人生も様々な出来事は偶然ではなく、神がいると信じたとき、人生を理解できます」

(以上、「クリスチャン新聞福音版No.471いのちのことば社」より抜粋)

「すべてに意味がある」と理解することは、ある人にとっては力となり、ある人にとってはさらなる不幸につながることがあります。苦しい境遇の中に、親が子どもを懲らしめるような愛を信じるのか、それとも信じないかで結果が違ってきます。マイケル・チャンが好きな聖書の言葉に「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださる」(1)というのがあります。自分のことを愛してくださる神が存在し、その神が私の益のために今の状況を与えてくださっていると信じることは、あなたの幸せにつながります。教会ではあなたのおいでをお待ちしています。(大泉聖書教会牧師 池田尚広)

(※)新約聖書ローマ人への手紙8:28