《基本的な知識》

最近のテレビ番組では、クイズ形式の番組が多くなっています。本を読まない人が多くなっていて基本的な知識が不足している人も増えているので、その意味でクイズ番組は役立っているのかもしれません。

ところで、西欧社会ではキリスト教がベースとなっている文化や習慣が多くありますから、キリスト教についてのある程度の知識を持っていることは将来にもプラスとなるはずです。

キリスト教の経典は聖書です。英語では、Bible(バイブル)と言いますが、その言葉を日本語に訳す時に「聖書」と訳されました。

多くの方は、キリスト教の組織といえば、カトリックとプロテスタントを想像されると思います。その他に「正教」(オーソドックス)という組織がありますが、ギリシャ正教とロシア正教が有名です。函館を旅行された方は、町の中にあるロシア正教の教会をご覧になったこともあると思います。

カトリックやプロテスタントの中でも、〜会とか、〜教団とかいろいろあって、何を基準に判断していいのかわからないという人もいると思います。ただしキリスト教では、仏教のようにそれぞれの宗派で経典が違うように経典も分かれているわけではありません。キリスト教においては、カトリック、プロテスタント、正教、それぞれの経典が聖書です。

11世紀にカトリックと正教(オーソドックス)が組織的に別れ、16世紀にカトリックの組織の中から分かれた者たちがいわゆるプロテスタントと呼ばれました。ちなみに、イギリスは国全体でカトリックから分かれて、イギリス国教会を形成しました(アイルランド側からはイギリス人をプロテスタントと呼ぶことがあるようです)。日本では聖公会と言われる教会がイギリス国教会の伝道によってできた教会です。

アメリカという国家は、カトリックやイギリス国教会の組織中心の信仰から、信仰の自由を求めた人たち(プロテスタント)が作った国です。のちにアイルランド移民などからカトリックは入ってきましたが、国の基礎はプロテスタントによって築かれました。

ところで、いわゆるプロテスタントと言っても長老教会、バプテスト、メソジスト、アライアンスなど、さまざまな系列が存在しています(当教会はアライアンスの部類です)。それらを区別する言葉として、宗派という言葉を使わずに教派という言葉が使われています。宗派というと経典が違うこととなりますが、聖書という経典が共通ですので教派という言葉が使われます。では、互いの教派でどこが違うかというと、教会の運営の仕方や信仰を告白した時に行う洗礼の仕方などです。聖書の中ではそれらに関して細かい規定がないので、教派というものが存在しています。また、教派の違いで互いに争っているわけでもありません。さらにカトリックや正教と争っているわけでもありません(ちなみに、北アイルランド紛争に関しては、その地域がEUに入った時から紛争が終わったことから、原因は宗教紛争ではないことがご理解いただけると思います)。

カトリック、正教、プロテスタントそれぞれが聖書を経典としています。聖書を経典とし、イエス・キリストに対する信仰が告白されているなら、それは正しいキリスト教です。ぜひ、おもてで紹介してあります聖書をお読みくださることを願っています。

〔大泉聖書教会牧師 池田尚広〕